生き残れ!金融円滑化法終了後の中小企業の窮地とその対策【メールマガジンバックナンバー第10号】 |S.K.I.ビジネスパートナーズ

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 生き残れ!金融円滑化法終了後の中小企業の窮地とその対策 【Vol.10】

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▼バックナンバー【Vol.5】『リスケを継続してはいけない企業』が生き残る方法
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▼バックナンバー【Vol.9】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
▼バックナンバー【Vol.10】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
▼バックナンバー【Vol.11】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
▼バックナンバー【Vol.12】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>



■■■◆■ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 2013.01.05 
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■■■  生き残れ!金融円滑化法終了後の中小企業の窮地とその対策
◆■                           【Vol.10】

■──────────────────── S.K.I.ビジネスパートナーズ

  まえがき:『金融円滑化法』の終了が来年3月に迫っています。
  同法を利用して元金返済を棚上げしている
  中小企業の借り入れ件数は延べ約300万件。
  同法終了後には倒産企業続出といった見方もありますが、
  果たしてどうなるのでしょう。
 
  日々、中小企業の再生再編の現場で活動している
  事業再生コンサルタント川原愼一とSKIのメンバーが、
  その現実と中小企業の生き残り作戦についてお伝えしていきます。

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┗■ 【第10号:<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
┃―ゾンビ企業ではなく「再生企業」へ、
┃          倒産予備群ではなく「再生予備群」への道―
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  新年明けましておめでとうございます。昨年末の自民党新政権の誕生もあり、
  今年は中小企業にとっても激動の年になる予感がします。気を引き締めてい
  きましょう。
 
  前回メルマガ9号では、金融円滑化法終了以後の公的な支援はどのようなも
  のが用意されているか?そしてその活用法についてお話しました。
  その中で、10月18日付けの日経新聞の記事、『中小企業庁と金融庁は地域金
  融機関や政府系機関などとともに、経営不振に陥っている中小零細企業の事
  業再生を支援する組織を47都道府県に整備する。そしてその窓口を全国の信
  用保証協会におく』をご紹介しましたが、その後具体的な発表がないままで
  した。
  やっと12月19日になって、全国信用保証協連合会がそのホームページで、中
  小企業支援ネットワークの構築について紹介を始めました。
  http://www.zenshinhoren.or.jp/contents.php/news/yearly/2012/#121219
  また年末になって政府は、中小企業の再生を促す「地域活性化支援機構」(
  仮称)を、来年4月に創設する方向で検討に入ったようです。
  http://www.asahi.com/politics/update/1231/TKY201212300484.html
  但し内容からいって、ある程度の事業規模(中小企業の中の中規模企業〜、
  年商10億円〜)の企業が対象となるでしょう。
 
  どんな政策が発表されようとも、公的な支援はあくまで<支援>に過ぎませ
  ん。自身の事業は経営者自らが責任を持って行っていくことに何ら変わりあ
  りません。
  今号では、中小企業の中の小企業以下零細企業がどうのように生き残ってい
  けるのか、実例でお話していきたいと思います。
 
  〜中小企業の生き残りを掛けた泥臭い戦い〜
 
  田中さん(仮名)は45歳の時、いわゆる脱サラで起業しました。
  まじめで誠実な人柄で仕事熱心。スタッフからも信頼が厚く、起業から10年
  後には大手のフランチャイズ店を6店舗経営するに至りました。
  しかし不景気の波は田中さんとて例外ではなく、リーマンショックのころか
  ら客足が減少し、メガバンクから高金利のビジネスローンで資金調達したこ
  とも重なり、資金繰りがみるみる悪化していきました。
  不採算店3店舗を閉鎖してもなお赤字、損益・収支共にマイナス傾向が続き
  ます。そんな時に私のところに相談にいらっしゃいました。
  その様子は見るからに意気消沈。6店舗にまで展開した昔のお話と、現状を
  語るときの勢いの差はお気の毒なまでです。
  但し、店舗経営という業態と実績、債務の内容などから十分に再生の可能性
  はあると私は確信しました。そしてこれからやるべき実務の手順をなるべく
  判り易くお話ししました。
  早速資金繰りの悪化を止める為、田中さんと私は取引金融機関(メガバンク
  ・地元信金・地銀)を訪問し事情を説明しました。
  ―――詳しく財務状況を調べるので、今後の経営改善について改めて相談さ
  せてほしい。その間は元金・金利ともに返済・利払いをストップすることを
  お願いしたい。
  きちんと状況を説明した田中さんの申し入れは認められ、全ての金融機関か
  らリスケジュール策を了解されました。その上で私達は、再生作業に入りま
  した。
  田中さんには次の内容をお話しました。
 
  [1]倒産はしません!させません!
   なんといっても窮地の経営者には「倒産」の二文字が恐怖です。手形を扱
  っていない田中さんの会社は、不渡りなどの突然死の要素はありません。
  (また支払手形があっても即倒産ではありません。やり方はあります。)
 
  [2]時間的な余裕があります!焦らずに行きましょう!
   多くの再生事例を見てきた私にすれば、この時の田中さんの状況は全く追
  い詰められてはいないのですが、追い詰められたと思いがちの経営者は、み
  な思考が膠着してしまいます。資金繰りなどの状況からまだまだ時間がある
  と判断した私は、田中さんの精神状態を好転させることがまずは重要と判断
  しました。
  
  [3]やるべき実務はまず資金繰りの良化です!
   どの店舗がどの程度の赤字か、黒字か?販売管理費に無駄はないのか?赤
  字の店舗を黒字化するにはどうすべきか?などこれから調べること、やるこ
  とはたくさんありますが、まず着手すべきは出血多量状態の資金繰りを改善
  することです。
   その為にも貸借対照表(B/S)の精査などは後にして、資金繰り(キャッ
  シュフロー)を「直接法」で精査することの意味を説明しました。お金の流
  れを把握すれば、田中さんも改めて自分の事業を別角度から把握できます。
  また金融機関にリスケジュールを依頼するにも最も説得力のある資料になり
  ます。
 
   その結果次のような方針を立てることができました。
  [1]資金繰り(キャッシュフロー)の精査の結果、取引金融機関にリスケジ
  ュールに応じてもらうことで、収支がほぼイーブンで事業を継続できそうだ
  と解りました。
 
  [2]経営改善計画を自分で作成してもらいました。これからは黒字経営を継
  続できるようにすることが、抜本的な経営計画となる!(経費の削減を中心
  とした内容に加えて、改善2年目からは5%程度の売り上げ増を見込みました)
  ことが再認識できました。
  経営改善計画作成については、雛形や他社の実名を除いたサンプルなどを使
  って解説させていただきましたが、田中さんご自身が作成することに意味が
  あると何度もお話し、ゼロからご自身で書いていただきました。私たちはそ
  のお手伝をしただけです。
  後で田中さんが笑い話のようにこう語っていました。
  「実は私はキーボードが苦手で、それが不安だと分かり、手書きで作成した
  後それを私どものスタッフがパソコンでまとめました」
 
  [3]今後1年間は毎月の経営状況をしっかり把握して、抜本的な手法(事業
  譲渡等)を用いるかどうかは、その後の課題としていくことにしました。
  この時はまだ金融円滑化法が施行される以前でしたが、的確な資料と妥当な
  改善計画のおかげで、すべての金融機関はリスケジュールを承諾してくれま
  した。
  田中さんと私はその後、毎月の試算表をなるべく早くチェックして、現状の
  把握と施策を話し合っていきました。
 
  ところが悪いときには悪い状況か重なるものです。
  1年を経過するころ、さらに厳しい状況がやってきました。
  3店舗のうち、最も業績の良い店が大家さんの都合で退店せざる得なくなっ
  てしまったのです。他の2店舗の業績は少し下降気味、3ヵ月後からは収支も
  損益もマイナスになることが予想されます。またしてもピンチです。
  新たな作戦が必要となり、田中さんの顔にも以前の不安の影が見え隠れして
  います。
  私はこう語りかけました。
  「田中さん シンプルに考えてください。2店舗が黒字経営していけること
  が絶対条件です。その為にも泥臭く考えて行動しましょう」
  そして次のような計画を立案し実行しました。
 
  [1]金融機関には、元金返済どころか利払いも無理。この状況を素直に認め
  て、利払いストップで金融事故扱いになることを受け入れる。
  「利払いストップ」により、今の会社での将来の資金調達は難しくなります
  が、どちらにしろこの財務状況では金融機関からお金は借りられません。元
  利返済ストップしたあとで金融機関がどう出てくるか、それにどう対処する
  かを田中さんに良く理解してもらい、不必要な恐怖感を払拭してもらいまし
  た。
 
  [2]問題は自宅です。地銀から借り入れた残債がまだ約3000万円あります。
  自宅に抵当権が設定されていますが、第一抵当権は住宅ローンです。その残
  債は約1000万円。
  田中さんは「やはり自宅は手放すか競売ですかね」と意気消沈しています。
  しかし自宅の市場価格と抵当権の設定状況から、良い方法を提案することか
  できました。
  「Sale&Lease back方式」です。
  これは事業再生に係わる不動産処理の秘策です。
  これは、今後も利用したい自宅等の不動産を一度第三者の会社(または個人
  )に買い取ってもらい、3年後に指定した個人または企業に買い戻してもら
  う(買い取ってもらった価格に手数料をプラスする)ビジネスモデルです。
  田中さんのご自宅の時価は約2000万円、Sale&Lease backの事業を営む会社
  に2000万円で買い取ってもらい、売却益で住宅ローン残債1000万円と、地銀
  に約900万円を返済しました。
  田中さんはこの会社と3年間の賃貸契約を結び、自宅は継続利用できること
  になりました。後は3年後に協力者に買い戻してもらう算段をすればいいだ
  けです。
  幸い住宅ローンの毎月の返済金額よりも毎月の賃貸料の方が僅かですが安い
  ので、田中さん自身の資金繰りも良くなりました。
 
  [3]この結果、保証協会付きの借り入れは全て保証協会に代位弁済され、可
  能な範囲で毎月支払いをしています。
  プロパー扱いの債権(地銀からの借り入れで自宅売却でも返済できていない
  部分と、メガバンクのビジネスローン)はサービサーに不良債権処理されて、
  これも可能な範囲で支払っています。
 
  こうして、田中さんは資金繰りがぎりぎりで回るようになり、残った2店舗
  の黒字経営に全力で取り組むことになりました。可能な範囲でスタッフの雇
  用を守り、ご家族の生活を守って事業を継続しています。法的な処理をせず、
  とはいえ逃げも隠れもせずに、経営者としての責務を全うされているのです。
  特に会社分割や事業譲渡等の荒治療をすることなく、正直に愚直に泥臭く「
  再生」への道を歩みだすことかできた成功例です。
 
  次回のメルマガ11号では、廃業からの再起についてお伝えしていこうと思い
  ます。


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